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給排水設備工事の法定耐用年数は15年ですが、実際の寿命は素材によって異なり、15〜50年ほどの幅があります。工場やビルで起こりやすいトラブル例や、更新工事と更生工事の違いも解説します。
経営陣から設備増強の計画を任されたものの、給排水設備は専門外で、何から手をつければよいか迷っていないでしょうか。日々の業務に追われるなか、配管の状態を十分に把握できておらず、業者との打ち合わせで判断に悩むこともあるかもしれません。
給排水設備の仕組みや改修の必要性を理解しておくことで、設備計画をスムーズに進めやすくなります。
本記事では、給排水設備工事の基礎知識から、老朽化のサイン、改修工事の選び方までをわかりやすく解説します。
給排水設備工事とは

給排水設備工事とは、建物に水を届ける給水設備と、使った水を排出する排水設備に関わる工事の総称です。水道メーターから届いた水を建物内へ送る配管や、汚水・雑排水を下水道へ流す配管の設置、改修、修繕などが含まれます。
給排水設備は、いわば建物の血管です。どこか1か所でも不具合が起これば、水が全体に行き渡らなくなり、最悪の場合は製造ラインの停止や排水の漏出による環境汚染にもつながりかねません。
工場やビルの給排水設備は、配管の規模も使用水量も大きく、社会的な責任も重くなります。設備の全体像を知らないまま業者に任せきりにしていると、いざというときに適切な判断ができません。まずは自社の設備がどのような仕組みで成り立っているのかを、ひとつずつ押さえていきましょう。
【給水設備】給排水設備の種類①
給水設備とは、上水道からきれいな水を建物内に届けるための仕組みです。工場やビルでは、水道の圧力だけで各フロアに水を送る「増圧直結方式」や、いったん貯水槽に水をためてからポンプで送る「受水槽方式」が多く採用されています。
また、高置水槽方式は屋上のタンクに水を貯めておくため、停電時でも貯留されている水を使用できます。事業継続計画(BCP)の観点からも、検討したい給水方式のひとつです。
増圧直結方式
受水槽に水をためる必要がないため、受水槽方式と比べて設置スペースを抑えられます。また、配水管の水圧を活用して給水するため、エネルギーを有効に利用できる点も特徴です。
| メリット | ・受水槽の設置が不要なため、建設費を抑えやすい ・配水管の水圧を有効に利用でき、省エネにつながる ・受水槽を経由しないため、配水管から供給された水道水をそのまま使用できる |
| デメリット | ・貯水機能がないため、断水すると建物全体で水道を使用できなくなる ・工事や事故、災害などによる断水の影響を受ける |
受水槽方式
工場や大型ビル、プール施設など、多量の水を使用する施設や、入院設備のある医療施設やホテルなど、断水による影響が大きい施設で採用されます。
| メリット | ・断水時でも貯水量の範囲内で水道を使用できる ・高置水槽を設置している場合は、停電時でも貯留されている水を使用できる場合がある ・受水槽に給水栓を設置すれば、高置水槽がない場合でも貯留された水を使用できる |
| デメリット | ・受水槽や高置水槽、ポンプなどの設置スペースが必要になる ・ポンプを使用するため、電気代がかかる ・受水槽の点検や清掃を適切に行わない場合、水質が劣化する可能性があるける |
給水管
給水管は、上水道の水を建物内へ運ぶ配管です。素材には塩化ビニル管やステンレス管などが使われ、耐食性は素材ごとに差があります。
サビに弱い素材を使い続けると、赤茶色に濁った水、いわゆる「赤水」が発生しやすくなります。飲用や手洗いはもちろん、製造ラインで使う水に赤水が混ざれば、製品の品質そのものに悪影響を及ぼすおそれがあるため注意が必要です。
貯水槽
貯水槽には、建物の1階や地下に置く「受水槽」と、屋上に設置する「高置水槽」の2種類があります。上水道から届いた水をいったん受水槽にため、ポンプで高置水槽へくみ上げてから、重力を使って各階へ送る仕組みです。
なお、貯水槽の有効容量が10㎥を超える場合は、水道法により年1回以上の清掃と水質検査が義務付けられています。設備担当者として、清掃実績の有無は必ず確認しておきたいところです。
給水ポンプ
給水ポンプには、大きく分けて3種類あります。
- ・水をくみ上げる揚水ポンプ
- ・圧力を加える加圧ポンプ
- ・水道の圧力を直接高める増圧ポンプ
いずれも、高層階や離れた場所まで安定した水圧で水を届けるために欠かせない設備です。
古いタイプのポンプを、電力の使用量に応じて回転数を調整できるインバーター方式に交換すると、消費電力を抑えられます。省エネと電力コストの削減を同時に実現できる、わかりやすい投資対効果といえるでしょう。
給湯設備
給湯設備は、工場内で必要となるお湯を供給するための設備です。従業員が利用する手洗いや洗浄設備のほか、工程で温水を使用する場合など、工場の用途に応じて設置されます。給湯専用ボイラーや循環ポンプなどで構成されており、建物の規模や用途に応じて適切な方式が採用されます。
給湯方式には、使用場所ごとに加熱装置を設ける「局所方式」と、1か所でまとめてお湯をつくり各所へ供給する「中央方式」があります。
お湯の使用量が多い工場やビルでは、効率よく供給できる中央方式が採用されるケースが一般的です。
工場では、従業員が利用するシャワー室や食堂などの設備とも深く関わっています。作業後にすぐお湯を使えることや、食堂で安定して給湯できることは、日々の快適さにつながります。快適な給湯環境を整えることは、福利厚生の満足度を高めるうえでも重要です。
【排水設備】給排水設備の種類②
排水設備は、使用した水を安全に外へ排出するための仕組みです。トイレなどから出る汚水、工程で発生する排水、雨水は、それぞれ別の系統に分けて流す必要があります。
排出された水は、最終的に公共下水道や河川へ流れ込みます。そのため、適切に分離できていない排水設備は、環境規制への対応という面でもリスクがあります。
とくに工場やビルは排水量が多く、排水設備の不具合が近隣へ影響を及ぼす可能性もあります。適切な維持管理を行い、排水設備の状態を定期的に確認することが大切です。
排水管
排水管は、汚水や雑排水を下水道まで流すための配管です。排水は自然に流れる仕組みのため、適切な勾配(水が流れやすくなる傾き)を確保することが重要です。
排水管には、流す水の種類に応じて次のような種類があります。
- ・汚水管:トイレから出る汚水を流す配管
- ・雑排水管:キッチンや浴室などから出る生活排水を流す配管
- ・雨水管:雨水を流す配管
それぞれ用途に適した素材が使用されており、汚水管には耐食性に優れた硬質塩化ビニル管や耐火二層管が多く採用されています。
また、排水管には悪臭や害虫の侵入を防ぐ「排水トラップ」が設けられています。排水トラップとは、配管内に水をためることで、下水からの臭いやガスの侵入を防ぐ仕組みです。
油汚れや洗剤が長年蓄積すると、排水トラップの機能が低下し、詰まりや逆流の原因になることがあります。設備を良好な状態に保つためにも、定期的な点検と清掃を行うことが大切です。
通気管
通気管は、排水管内の空気圧を調整し、排水をスムーズに流すための配管です。排水が流れる際に生じる圧力の変化を逃がす役割を持っています。
排水口から「ポコポコ」という異音がする場合、通気管がうまく機能していないサインかもしれません。
排水槽・排水ポンプ
地下階など、自然に排水を流せない場所では、排水をいったん排水槽にため、排水ポンプでくみ上げて下水道へ送ります。工場の地下ピットや半地下の倉庫などでは、欠かせない設備です。
排水槽の清掃を怠ると、たまった汚水から悪臭が発生したり、細菌が繁殖したりするリスクが高まります。排水槽は普段目にする機会が少ない設備であるため、不具合が進行してから初めて気づくケースも珍しくありません。
排水槽・排水ポンプを適切に維持するためには、定期的な点検と清掃が重要です。
給水設備が「血液を届ける動脈」だとすれば、排水設備は「老廃物を排出する静脈」にあたります。どちらか一方でも機能を失えば、建物全体の健康は保てません。日ごろの点検で、両方の状態を確認しておくことが大切です。
改修が必要なサイン|給排水設備の故障・トラブル例

工場長として日々現場を見ていても、設備の古さには慣れてしまい、意外と気づきにくいものです。しかし、そこで働く従業員は、経営者や管理者が思う以上に、その古さを敏感に感じ取っています。
実際、そのことを裏付けるアンケート結果があります。
株式会社NEXERとRENOXIA(リノシア)が実施した調査では「今の職場や、これまで働いた工場・倉庫・オフィス・店舗・ビルなどで、建物や設備の『古さ』が気になったことはありますか」という問いに対し「頻繁に気になった」「たまに気になった」と回答した人が合わせて約4割にのぼりました。
さらに「古さ」や「老朽化」を感じた点で、最も多く挙がったのは「トイレ・洗面所・休憩室など水回り設備」でした。
つまり、水回りのトラブルは、従業員が最も気づきやすい「職場の古さ」のサインといえます。放置すると、働きやすさやモチベーションの低下につながる可能性もあるため、改修を検討するきっかけとして考えることが大切です。
水が出ない・少ない
水が出なかったり少なかったりするのは、給水ポンプの不具合や配管内部の閉塞が主な原因です。特定の場所だけで起こる場合と、建物全体に及ぶ場合とでは、疑うべき箇所が異なります。
濁った水が出る
濁った水が出るのは、配管の内部でサビが発生し、赤水として現れている状態です。放置すれば、製品への影響や従業員の健康面への不安にもつながります。
異臭がする
異臭がするのは、排水トラップ内の水が蒸発してしまう「封水切れ」や、排水管内の汚れ、排水槽内の腐敗などが主な原因です。長期間使われていない水回りで発生しやすい傾向があります。
排水が詰まる
排水の詰まりは、異物の混入や勾配不良、長年の汚れの蓄積などが重なって起こります。放置すると逆流を招き、被害が拡大するおそれがあります。
漏水する
配管の破損による漏水は、コンクリートなどの建物の構造躯体を劣化させるおそれがあります。表面上は小さな水漏れでも、根本には大きな問題が潜んでいるケースも少なくありません。
こうした症状は、改修を検討すべきサインです。放置すると、突発的な断水や操業停止につながり、納期の遅延や売上の減少など、経営面に影響を及ぼす可能性があります。
日ごろから設備の状態を確認し「いつもと違う」と感じたら早めに専門業者へ相談することが、大きなトラブルを防ぐポイントです。
給排水設備の実用耐用年数
給排水設備には、税務上の目安となる「法定耐用年数」と、実際に使い続けられる「実用的な耐用年数」の2つの考え方があります。
国税庁の減価償却資産の耐用年数表では、給排水設備の法定耐用年数は15年とされていますが、これはあくまで会計上の目安です。
- ・法定耐用年数:減価償却を行うための会計上の目安(15年)
- ・実用耐用年数:実際に使用できる期間の目安(15~50年程度)
実用耐用年数は、設備の素材やメンテナンスの状況によって大きく異なります。そのため「15年で必ず交換しなければならない」というわけではありません。ただし、法定耐用年数を過ぎた設備は、劣化のサインが現れやすくなる時期と捉え、点検の頻度を増やすことが大切です。
なお、給排水設備の定期報告時期は、建築基準法施行規則にもとづき、おおむね6か月~1年の間隔で特定行政庁が定めます。対象設備や報告頻度は自治体により異なるため、管轄自治体の施行細則や案内で確認が必要です。
あわせて、建築物における衛生的環境の確保に関する法律でも、給排水設備の機能不全によって汚水などが漏出しないように維持管理することが定められています。自社の設備が対象となるかどうかは、一度確認しておきたいところです。
こうした耐用年数の目安を、自社の工場やビルの築年数と照らし合わせてみてください。設備ごとの寿命を一覧で把握しておけば、どこから優先的に点検すべきかが見えてきます。壊れてから対応するよりも、計画的な改修のほうが、長い目で見たトータルコストを抑えられます。
出典:e-GOV法令検索「建築基準法第十二条」
出典:e-GOV法令検索「建築基準法施行規則第六条」
こちらの記事では、失敗しない工場の改修工事について解説しています。
最適なタイミングや具体的な注意点なども取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
給排水管の改修工事の種類

給排水管の改修工事には「更新工事」と「更生工事」の2種類があります。それぞれの特徴は以下のとおりです。
| 項目 | 更新工事 | 更生工事 |
|---|---|---|
| 工事内容 | 既存の配管をすべて撤去し、新品に交換する | 既存の配管を活かしたまま内部を洗浄し、樹脂などでコーティングして延命する |
| 耐用年数の目安 | 30年以上 | 10~15年程度 |
| 特徴 | 長期間の使用を見据えた工事 | 配管を延命するための工事 |
※耐用年数の目安は、工法・材料・施工条件などによって異なります。
更生工事は、あくまで既存配管の寿命を延ばすための工事です。新品に交換する更新工事とは、期待できる耐用年数が大きく異なります。改修工事を検討する際は、それぞれの特徴を踏まえて選ぶことが大切です。
更新工事
更新工事は、配管を新品に取り替えるため、資産価値の向上や30年以上の長寿命化が見込めます。ステンレス管や樹脂管など、最新の材質へ切り替えられる点もメリットです。
工場の大規模なリノベーションに合わせて、他の設備工事と同時に実施すれば、工程全体を効率的に進められます。
配管を新品に交換する更新工事では、業者に依頼する前に書類を準備しておくと、手続きがスムーズに進みます。一般的に必要とされる主な書類は、次のとおりです。
- ・竣工図・給排水設備図面
- ・過去の修繕・改修履歴
- ・点検・メンテナンス記録
- ・設備機器の仕様書・取扱説明書
- ・水道・下水道の契約・使用状況がわかる資料
更生工事
更生工事は、更新工事に比べて低コストかつ短工期で済み、建物へのダメージも少ないというメリットがあります。営業や稼働を止めずに施工できるケースもあり、稼働中の工場にとっては大きな魅力です。
ただし、配管の厚みが薄くなりすぎている場合は施工できません。見た目だけでは判断がつかないため、専門業者による事前診断を受けることが重要です。
更生工事は建物の解体や掘削をともなわないため、更新工事に比べて準備する書類は少なくなりますが、依頼前に次のような書類を確認しておきましょう。
- ・竣工図・給排水設備図面
- ・過去の修繕・改修履歴
- ・点検・メンテナンス記録
- ・設備機器の仕様書・取扱説明書
- ・水道・下水道の契約・使用状況がわかる資料
過去に実施した内視鏡調査・管内調査などの記録があれば、あわせて用意しておきましょう。必要書類は工事の内容や自治体によって異なるため、詳しくは依頼先の業者に確認しておくと安心です。
給排水設備工事の流れ

給排水設備工事は、設計から施工、引き渡しまで複数の工程を経て進みます。設計会社と施工会社が別々の場合、情報の伝達に時間がかかり、工期が延びてしまうこともあります。
RENOXIA(リノシア)のように、設計から施工まで一貫して対応できる業者であれば、情報伝達のロスが少なく、工期遅延のリスクを抑えられます。
設計・計画
現場調査の結果をもとに設計図を作成する工程です。電気設備や空調設備など、他の設備との干渉を防ぐため、緻密な計画が求められます。この段階でどれだけ精度を高められるかによって、後の工程で手戻りが発生しやすいかどうかが変わってきます。
着工
更新の場合は既存配管の撤去・解体を行います。撤去・解体完了後、配管材料を加工し、適切な排水勾配で設置します。更生の場合はまず管内に付着した汚泥などを除去し、洗浄したあと、樹脂などでコーティングを施します。
工場では、生産活動を止めずに工事を進めるため、施工する時間や範囲をあらかじめ細かく調整することが重要です。
たとえば、作業を平日の昼間に限定したり、断水するエリアを分けて順番に施工したりすることで、操業への影響を抑えられます。
また、生産ラインを一時的に停止する必要がある場合は、設備の計画停止や定期メンテナンスの時期に合わせて工事を行うなど、製造スケジュールを考慮して施工を行います。
器具取り付け・試運転
蛇口やポンプなどの器具を取り付けたあと、実際に水やお湯を流して漏水がないかを確認します。設計どおりの水圧や水量が保たれているかを数値で測定し、必要に応じて微調整を行う工程です。
完成検査・引き渡し
最終検査に合格すると、竣工図面や保守マニュアルとともに設備が引き渡されます。引き渡し後のアフターフォロー体制が整っているかどうかも、業者選びの重要な判断材料です。
まとめ
給排水設備は、工場やビルの安定稼働を支える血管ともいえる存在です。老朽化のサインを見逃さず、計画的に改修を進めることが、突然のトラブルによる操業停止の防止につながります。
とはいえ、ビルや工場の改修では、給排水設備の更新・補修工事や、電気・照明設備の工事など、複数の工事が絡み合うことも少なくありません。窓口が複数に分かれていると、情報の行き違いから思わぬ手戻りが発生するおそれもあります。
正和工業のRENOXIA(リノシア)は、建築・設備・電気の現場監督を内製化し、窓口を一本化した複合工事を得意としています。設計から施工、アフターフォローまでワンストップで対応できるため、大規模なリノベーションも安心してお任せいただけます。
工場やビルの給排水設備でお困りの際は、ぜひRENOXIA(リノシア)にお気軽にご相談ください。
RENOXIA(リノシア)では、工場や倉庫のリノベーションを
企画から設計、施工、アフターサポートまでワンストップで対応しております。
お困りの際には、ぜひお問い合わせください。

























