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建物全般

2025.12.17

用途変更とは?申請が必要・不要なケースと手続きの方法・注意点を解説

  • # 老朽化対策
  • # 働き方・求人対策

用途変更は特殊建築物への変更で床面積200㎡超の場合に確認申請が必要です。工場や倉庫を所有する法人向けに、申請の要否判断基準、類似用途の例外、罰則、検査済証の確認など注意点、手続きの流れを解説します。

近年、空きテナントなどの増加を背景に、既存の建物を新たな用途に転用して有効活用するケースが増えています。こうした際には、建築基準法に基づく「用途変更」の手続きを行う必要がある場合があります。

とくに工場や倉庫、オフィスビルを所有する企業にとって、用途変更は既存資産を最大限に活用し、SDGsへの貢献や長期的な資産価値の維持にもつながる重要な取り組みです。

本記事では、用途変更の基本から申請の要否判断、手続きの流れ、注意すべきポイントまで解説します。

用途変更とは?

用途変更とは、既存建物の用途を変えて、別の用途に転用することです。

建築基準法第87条では、特定の条件下で建物の用途を変更する際に確認申請が義務付けられています。構造的な変更をともなわない場合でも、家具の搬入や内装工事だけで用途変更に該当するケースがあります。

近年では、既存建物の有効活用によるSDGsへの貢献や、コスト削減を目的とした用途変更が注目されています。

なぜ用途変更をしなければならないのか?

建物の用途によって、利用者の安全を確保するための基準が大きく異なるからです。避難経路、防火設備、構造強度、採光、換気など、用途ごとに求められる安全対策は異なります。

建築基準法第87条に基づき、特定の条件下で用途変更を行う際には確認申請が義務付けられています。法令遵守を怠ると罰則が科されるだけでなく、売却や融資への影響、万一の事故発生時には企業の社会的責任が問われる可能性があります。

用途変更の申請が必要になる要件

用途変更の確認申請が必要かどうかは、以下の2つの要件をいずれも満たすかで判断します。

  •  ・要件1:特殊建築物への用途変更であること
  •  ・要件2:変更部分の床面積が200㎡を超えること

この2つの要件を両方満たす場合に、建築確認申請が必要となります。確認申請が不要な場合でも、建築基準法や消防法などの関連法規への適合は必須です。

要件1:特殊建築物への用途変更であること

「特殊建築物」とは、劇場、映画館、病院、ホテル、百貨店など、不特定多数の人が利用する建物や、火災発生時に避難が困難となる建物のことです。

建築基準法第2条第2号および別表第一に、以下の用途が特殊建築物として挙げられています。

  •  ・劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場
  •  ・病院、診療所(患者の収容施設があるもの)、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎、児童福祉施設等
  •  ・学校、体育館、博物館、美術館、図書館、各種スポーツ施設
  •  ・百貨店、マーケット、展示場、飲食店、物品販売業を営む店舗、各種娯楽施設
  •  ・倉庫
  •  ・自動車車庫、自動車修理工場、映画スタジオ、テレビスタジオ

工場は原則として特殊建築物には含まれませんが、自動車修理工場のように火気を使用する施設は特殊建築物に該当します。さらに、倉庫は特殊建築物に分類されるため、用途変更の際にはとくに注意が必要です。

要件2:変更部分の床面積が200㎡を超える

用途変更を行う部分の床面積が200㎡を超える場合に、確認申請が必要となります。この基準は、2019年6月25日の建築基準法改正により、従来の100㎡超から200㎡超に緩和されました。

重要な注意点として、用途変更の面積は単一の区画だけでなく、建物内での用途変更の合算面積で判断される場合があります。

たとえば、商業ビル内の100㎡の事務所を飲食店に変更するケースで、同じビル内にすでに150㎡の用途変更区画があれば、合計で250㎡となり確認申請が必要になります。この合算の判断基準は自治体によって異なるため、事前相談をおすすめします。

確認申請が必要な例

・倉庫を店舗やカフェにする場合で、床面積が200㎡を超える場合
・一般的な工場を自動車修理工場に変更し、床面積が200㎡を超える場合

確認申請が不要な例

・倉庫を一般的な工場にする場合
・床面積が200㎡以下の用途変更

用途変更の申請が不要になるケース「類似の用途」とは?

特殊建築物への用途変更であっても、変更前と変更後の用途が建築基準法に定められた「類似の用途」に該当する場合は、確認申請が不要となります。

たとえば、アパレル店から雑貨店への変更や、ホテルから旅館への変更、体育館からバスケットボールコートへの変更など、同一の類似用途区分内での転用は申請が不要です。

建築基準法施行令第137条の18に記載されている類似用途の区分は、以下のとおりです。

  •  ・劇場、映画館、演芸場、公会堂、集会場
  •  ・診療所(患者の収容施設があるもの)、児童福祉施設等
  •  ・ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎
  •  ・博物館、美術館、図書館
  •  ・体育館、ボーリング場、スケート場、水泳場、スキー場、各種練習場
  •  ・百貨店、マーケット、物品販売業を営む店舗
  •  ・キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー
  •  ・待合、料理店
  •  ・映画スタジオ、テレビスタジオ

類似用途であっても、特定の用途地域内にある場合は例外的に確認申請が必要になるケースがあります。また、物販店と飲食店は建築基準法では類似用途とならないため、確認申請が必要です。

用途変更を行わなかった場合の罰則

必要な確認申請を怠った場合、建築基準法違反となり、建物所有者に対して懲役や罰金が科されます。

建築基準法第98条に基づき、一般的には最大で懲役3年以下または300万円以下の罰金が科されます。建築物所有者が法人の場合は、1億円以下の罰金となる可能性があります。

罰則だけでなく、事故発生時の刑事責任、不動産売買契約への支障、保険の対象外となるリスク、企業の社会的信用の失墜など、多角的なリスクを考慮する必要があります。

用途変更の申請を行う際の注意点

前述のとおり、用途変更を適切に行わない場合には罰則や多方面のリスクが生じる可能性があります。そのため、申請時には法令に沿った正確な手続きが欠かせません。ここでは、用途変更の申請を行う際の注意点を解説します。

既存の建物の遵法性を確認しておく

用途変更を行う前に、まずは既存の建物が現行の法令に適合しているかどうかを確認する「遵法性調査」を実施することが重要です。

「既存不適格建築物」とは、建築当時は適法であったものの、その後の法改正により現在の基準に適合しなくなった建物を指します。これは違法ではなく、使用自体に問題はありません。

一方で「違反建築物」は、建築当初から法律に違反している建物であり、明確な違法状態にあります。用途変更を進める際には、既存不適格部分を現行法に合わせて是正する「遡及適合」が求められるケースも少なくありません。

また、違反建築物と判断された場合には、確認申請の受付自体が拒否される可能性もあるため、事前の遵法性確認が欠かせません。

建物に検査済証があるか確認しておく

「検査済証」とは、建物や敷地が建築基準法などの規定に適合していることを証明する書類です。建築確認に始まり、中間検査・完了検査までのすべてに合格すると発行され、そこで初めて建築基準法に適合した建物として認められます。

用途変更の際には、原則として検査済証が必要です。検査済証がない建物は、用途変更のための建築確認申請ができない可能性が高くなります。

紛失した場合は「検査済証明書」や「台帳記載事項証明」で代用可能です。検査自体を受けていない場合は、国土交通省のガイドラインに基づき、一級建築士または建築基準適合判定資格者による「建築基準法適合状況調査」を依頼する必要があります。

用途変更では完了検査は行われない

用途変更の確認申請においては、新築時のような工事完了後の「完了検査」は実施されず「検査済証」も交付されません。

代わりに、工事完了後4日以内に自治体の建築主事または特定行政庁へ「工事完了届」を提出する必要があります。民間の指定確認検査機関で確認済証の交付を受けた場合でも、完了届の提出先は役所の建築主事となります。

確認申請が不要なケースでも消防への届け出は必要

建築基準法上の確認申請が不要な場合でも、消防法に基づく届け出や手続きが必要になるケースがほとんどです。

建物の用途が変わると、消防法上の扱いや求められる消防用設備も変化します。「消防用設備等設置届出書」は工事開始の10日前「防火対象物工事等計画届出書」は工事開始の7日前までに管轄の消防署に提出する必要があります。

用途変更の手続きの流れ

用途変更の手続きの流れは以下のとおりです。

  1.  1.専門家に相談する
  2.  2.用途変更の計画を立てる
  3.  3.申請書を作成し提出する
  4.  4.工事を実施していく

ひとつずつ確認していきましょう。

1:専門家に相談する

用途変更は複雑な手続きが多いため、まず専門家に相談することが重要です。法規制、費用、スケジュール、計画の実現性などを確認することで、トラブルを未然に防ぐことができます。

相談時には、建物の建築確認済証、検査済証、設計図面一式を用意しておくとスムーズです。建築・設備・電気の現場監督を内製化している専門業者であれば、相談窓口が一本化され、複合的な工事にも柔軟に対応できます。

2:用途変更の計画を立てる

変更後の用途、建物の改修内容、必要な設備などを計画するフェーズです。建築基準法や消防法などの関係法令への適合性を考慮した計画が必要です。

企画から設計、施工、メンテナンスまで一貫して対応できる業者であれば、予算取りや設備投資の効果予測シミュレーションなど、経営判断に必要な情報も提供してもらえます。

3:申請書を作成し提出する

「建築確認申請書」や「設計図書」の作成が必要です。提出先は、自治体の建築審査課または民間の指定確認検査機関です。審査を通過すると「確認済証」が交付され、工事に着手可能となります。

一級建築士でなければ作成できない書類もあるため、専門家のサポートが不可欠です。

4:工事を実施していく

確認済証の交付後、計画に基づいて工事を進めます。用途変更の確認申請には完了検査は実施されず、代わりに工事完了後4日以内に特定行政庁または建築主事へ「工事完了届」を提出します。

安全第一で迅速な工事、夜間や居ながらの工事対応、引き渡し後のアフターケアまでワンストップで対応できる業者を選ぶことが重要です。

まとめ

用途変更とは、既存建物の用途を変えて別の用途に転用することです。特殊建築物への用途変更で、変更部分の床面積が200㎡を超える場合は確認申請が必要となります。

類似用途間での変更は原則として申請不要ですが、確認申請が不要な場合でも、消防法などの関連法規の遵守は必須です。必要な手続きを怠ると、最大で懲役3年以下または300万円以下の罰金(法人の場合は1億円以下)が科される可能性があります。

既存建物の有効活用は、SDGsへの貢献や環境負荷の低減にもつながります。用途変更を適切に行うことで、長期的な資産価値を維持し、企業の持続可能な成長を支えることができます。

正和工業株式会社のRENOXIA(リノシア)は、工場、倉庫、オフィスビル、物流施設の総合リノベーションを手がけています。建築・設備・電気といった各分野の現場監督を自社で内製化しており、企画・設計から施工、アフターメンテナンスまでをワンストップで対応できる体制を整えています。

建物の有効活用や企業価値向上を見据えたリノベーションをお考えの際は、ぜひご相談ください。

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