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2025.11.28
工場の耐用年数はどのくらい?減価償却から寿命を伸ばすポイントまで解説
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工場の耐用年数は構造別に木造15年、RC造38年、金属造17〜31年と定められています。法定耐用年数と実際の寿命の違い、減価償却の計算方法、建物を長持ちさせる修繕ポイントを解説します。
工場を運営するうえで「耐用年数」と「減価償却」の仕組みを正しく理解しておくことは欠かせません。これは、経営判断や設備更新のタイミング、さらには税務処理の正確性にも大きく関わる重要な要素です。
本記事では、減価償却の基本知識から構造別の法定耐用年数、そして工場の寿命を最大限に延ばすための実践的なポイントまで、現場で役立つ情報を詳しく解説します。
工場における減価償却の基本知識
工場の耐用年数を考えるうえで、まず押さえておきたいのが「減価償却」です。
そもそも減価償却とは?
減価償却とは、時間の経過や使用によって価値が減少する固定資産の取得費用を、耐用年数に応じて少しずつ経費として計上していく会計処理のことです。
たとえば、5,000万円で工場を建設した場合、その費用を建設した年にすべて経費として計上すると、その年だけ大きな赤字になってしまいます。そこで、法律で定められた耐用年数に基づき、毎年一定額を経費として計上していくのが「減価償却」です。
このように価値が時間とともに減少する資産を「減価償却資産」と呼びます。代表的なものとして、建物・機械・車両などが挙げられます。一方で、土地や骨董品など、価値が下がらない資産は対象外です。
減価償却を正しく行うことで、各年度の利益を正確に把握でき、資金計画の精度も高まります。また、減価償却費は経費として認められるため、適切に活用すれば節税効果も期待できます。
減価償却の計算方法
減価償却の計算には、主に「定額法」と「定率法」の2つの方法があります。どちらの方法を採用するかによって、毎年の減価償却費の金額や、経費計上のタイミングが異なります。
定額法
定額法は、毎年同じ金額を減価償却費として計上する方法です。計算がシンプルで分かりやすく、長期的な資金計画を立てやすいのが特徴です。
「減価償却費=取得価額×定額法の償却率」
たとえば、取得価額3,800万円の鉄筋コンクリート造の工場(法定耐用年数38年)の場合、定額法の償却率は0.027となります。この場合、毎年約102万6,000円を減価償却費として計上することになります。
建物の減価償却には、原則としてこの定額法を用いることが定められています。毎年同じ金額を計上するため、予算管理や資金繰りの見通しを立てやすく、長期的な経営計画に適している点が大きなメリットです。
定率法
定率法は、資産の未償却残高に一定の割合(償却率)を掛けて減価償却費を計算する方法です。初年度の減価償却費が最も大きく、年を追うごとに金額が減少していくのが特徴です。
「減価償却費=未償却残高×定率法の償却率」
初年度は減価償却費が大きくなるため、節税効果を得やすいというメリットがあります。
一方で、計算がやや複雑であり、償却保証額を下回った場合には計算方法が変わる点には注意が必要です。
また、機械設備など一部の資産では定率法を選択できる場合がありますが、建物本体については原則として定額法が適用されます。
工場で減価償却の対象になるもの
工場経営において、減価償却の対象となる主な資産は「建物本体」と「設備・装置」の2つに分類されます。それぞれの資産には耐用年数や償却方法が異なるため、特徴をしっかり理解しておくことが大切です。
工場の建設費用
工場の建設費用には、建物本体の建築費だけでなく、付帯設備の設置費用、設計費、工事関連費用などが含まれます。これらは一括して建物の取得価額として計上され、法定耐用年数に基づいて定額法で減価償却します。
建物附属設備として、電気設備、給排水・衛生設備、空調設備、消防設備なども減価償却の対象です。ただし、これらの設備は建物本体とは別の法定耐用年数が定められている場合があります。
設備・装置の費用
製造に使用する機械や装置、生産ラインのハードウェア、それを運用するためのソフトウェアなども減価償却の対象です。
機械及び装置は、業種や設備の種類によって法定耐用年数が細かく定められています。たとえば、食料品製造業用設備は10年、化学工業用設備は8年など、用途によって年数が異なります。
また、機械設備の減価償却では、定額法と定率法のどちらかを選択できる場合があります。設備の更新サイクルや財務戦略に応じて適切な方法を選びましょう。
なお、取得価額が10万円未満の少額資産は一括で経費計上できます。また、中小企業の場合は30万円未満の資産について特例があるため、これらの制度も活用すると効率的です。
工場の耐用年数には3つの種類がある
工場の耐用年数を考える際に、法定耐用年数だけを基準にするのは十分ではありません。実際には、耐用年数には3つの種類があり、それぞれ異なる観点から建物や設備の寿命を評価します。
工場の耐用年数は、以下の3種類に分けられます。
- ・法定耐用年数
- ・経済的耐用年数
- ・物理的耐用年数
これらの違いを正しく理解することで、減価償却の計算だけでなく、修繕や建て替えの最適なタイミングを見極めることができます。
1.法定耐用年数
法定耐用年数とは、国税庁が定めた税務上の耐用期間です。
減価償却費を計算する際の基準となる年数で、建物の構造や用途によって細かく定められています。
重要なのは、法定耐用年数はあくまで会計上の基準であり、実際に建物が使用できる期間とは異なるという点です。法定耐用年数を過ぎたからといって、工場が使えなくなるわけではありません。
正確な法定耐用年数を把握することで、減価償却の計算精度が上がり、適切な経理処理や節税対策にもつながります。
工場の建物の法定耐用年数|構造によって異なる
工場・倉庫用建物の法定耐用年数は、建物の構造によって大きく異なります。以下は国税庁が定めた工場用・倉庫用(一般用)の法定耐用年数です。
工場・倉庫用建物の構造別法定耐用年数
・木造・合成樹脂造:15年
・木骨モルタル造:14年
・鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造:38年
・れんが造・石造・ブロック造:34年
・金属造(骨格材の肉厚4mm超):31年
・金属造(骨格材の肉厚3mm超4mm以下):24年
・金属造(骨格材の肉厚3mm以下):17年
注意が必要なのは、金属造の場合です。鉄骨の骨格材の肉厚によって法定耐用年数が17年から31年まで大きく変動します。正確な減価償却を行うには、建設時の図面で骨格材の肉厚を確認する必要があります。
また、工場用・倉庫用と店舗用・住宅用では年数が異なります。
たとえば、木造の場合、店舗用・住宅用は22年ですが、工場用・倉庫用は15年です。同様に、鉄筋コンクリート造も店舗用・住宅用は47年ですが、工場用・倉庫用は38年と定められています。
用途を正確に確認し、工場に該当する法定耐用年数を適用するようにしましょう。
工場の設備・装置の法定耐用年数|ものによってさまざま
工場内の設備・装置にも、それぞれ法定耐用年数が定められています。建物附属設備と機械装置に分けて考えましょう。
建物附属設備の主な法定耐用年数
・電気設備(照明設備を含む):6~15年
・給排水・衛生設備、ガス設備:15年
・冷房・暖房・通風・ボイラー設備:13~15年
・消防設備:8年
機械及び装置は、業種によって細かく年数が定められています。
機械及び装置の主な法定耐用年数
・食料品製造業用設備:10年
・化学工業用設備:8年
・金属製品製造業用設備:10年
・一般機械器具製造業用設備:12年
これらの年数は国税庁の「耐用年数の適用等に関する取扱通達の付表」で詳しく定められています。自社の業種や設備の種類を正確に確認し、適切な年数を適用することが重要です。
2.経済的耐用年数
経済的耐用年数とは、建物や設備を経済的に採算が取れる状態で使用できる期間のことです。具体的には、メンテナンスや修繕にかかるコストが、建て替えや新規投資の費用を上回るまでの年数を指します。
工場の場合、年数が経つにつれて修繕頻度が増え、コストもかさんでいきます。屋根や外壁の塗装、設備の部品交換など、小規模な修繕から始まり、やがて大規模な改修が必要になります。
そして、こうした修繕費用の累計が新築費用に近づいたとき、建て替えた方が経済的に合理的だと判断できます。これが経済的耐用年数の終了時期です。
経済的耐用年数は、建物の使用状況や市場環境によって変動します。たとえば、最新の省エネ設備が登場した場合、古い設備のままでは光熱費が高くつき、経済的耐用年数が短くなることもあります。
3.物理的耐用年数
物理的耐用年数とは、建物が物理的に使用できる実際の期間のことです。
建物の構造体や部材が劣化し、安全に使用できなくなるまでの年数を指します。
一般的に、物理的耐用年数は法定耐用年数や経済的耐用年数よりも長く設定されます。
たとえば、鉄筋コンクリート造の工場の法定耐用年数は38年ですが、適切にメンテナンスを行えば法定耐用年数を超えて長く使用することも可能です。
物理的耐用年数を延ばすカギは、定期的な修繕とメンテナンスです。
外壁や屋根の防水処理、鉄骨部分の防錆対策、基礎のひび割れ補修など、早期に対応すれば大きな劣化を防げます。
一方、地震や台風などの自然災害、塩害や凍害といった環境要因によって、物理的耐用年数は短くなることもあります。
物理的耐用年数を正確に把握するには、一級建築士などの専門家による建物診断(インスペクション)が必要です。定期的に診断を受け、建物の状態を客観的に評価してもらうことをおすすめします。
工場の耐用年数(寿命)を伸ばすためのポイント
法定耐用年数が過ぎても、適切な修繕とメンテナンスを行えば工場は長く使い続けることができます。ここでは、工場の物理的な寿命を延ばすための具体的なポイントを解説します。
外装修繕
工場の外装は、常に紫外線や風雨にさらされているため、建物のなかでもとくに劣化しやすい部分です。外装の劣化を放置すると雨漏りにつながり、建物全体の寿命を縮める原因となります。
〈屋根・屋上〉
屋根は雨水の侵入を防ぐために重要です。屋根材のひび割れやサビ、防水層の劣化などが見られたら、早めの対応が必要です。
陸屋根の場合は、防水処理がとくに重要です。防水シートの劣化や継ぎ目の剥がれから雨水が侵入すると、建物内部の腐食や設備の故障を招きます。定期的に防水層の状態を確認し、10年から15年を目安に防水工事を行いましょう。
折板屋根や波板屋根の場合は、錆や穴開きに注意が必要です。再塗装や部分的な葺き替えで対応できることも多いため、専門業者による定期点検を受けることをおすすめします。
屋根の修繕は高所作業となるため、必ず専門業者に依頼してください。
〈外壁〉
外壁は建物の外観を整えるだけでなく、雨水の侵入を防ぐ防水機能を担う重要な部位です。
塗装の劣化やひび割れ、コーキングの硬化を放置すると、そこから水が入り込み、建物の躯体を傷める原因となります。
外壁塗装は10年から15年ごとに再塗装が必要です。手で触れると白い粉が付着する「チョーキング現象」が見られた場合は、塗装の劣化が進行しているサインです。
金属製の外壁ではサビの発生にも注意が必要です。小さなサビのうちに補修すれば大きな損傷を防ぐことができ、防錆塗装を施すことで耐用年数を大きく延ばせます。
また、窓枠やドア周りのコーキングも定期的に点検しましょう。ひび割れや剥がれを放置すると水が浸入しやすくなります。コーキングの打ち替えは比較的低コストで行えるため、早めの対応が建物を長持ちさせるポイントです。
内装修繕
工場の内装は、作業環境の快適さだけでなく、安全性や品質管理にも直結する重要な要素です。
なかでも床の劣化には注意が必要です。ひび割れを放置すると、従業員の転倒やけがにつながる恐れがあります。さらに、フォークリフトなどの重機が頻繁に通行する場所では、床面の凹みや削れが発生しやすくなります。
多くの工場では、防塵塗装が施された床が採用されています。この塗装が劣化すると粉塵が発生し、製品への異物混入リスクが高まります。食品工場や精密機器を扱う工場では、定期的な床塗装の塗り替えが欠かせません。
内壁についても、汚れや剥がれがないか定期的に点検しましょう。とくに結露が生じやすい場所では、カビの発生や塗装の剥離が起こりやすくなります。早めの補修が、快適で安全な作業環境の維持につながります。
構造部分の修繕
柱、梁、基礎、階段などの構造部分は、建物の安全性と耐久性に直結する最も重要な部分です。構造部分で注意すべき劣化症状は以下のとおりです。
- ・柱や梁のひび割れ、たわみ
- ・鉄骨のサビや腐食
- ・基礎のひび割れや不同沈下
- ・コンクリートの中性化
これらの症状が見つかった場合は、速やかに専門業者に相談してください。構造部分の劣化は、建物全体の倒壊リスクにつながるため、軽視できません。
地震対策として耐震補強を検討することも重要です。とくに築年数が古い建物の場合、現在の耐震基準を満たしていない可能性があります。耐震診断を受け、必要に応じて補強工事を行いましょう。
構造部分の劣化は目に見えない場所で進行していることもあります。専門家による定期的な建物診断を受けることを強くおすすめします。
設備・装置の修繕
生産設備のメンテナンスはもちろんですが、建物附属設備の定期点検も工場の寿命を延ばすために欠かせません。
電気設備では、配線の劣化や漏電の有無を定期的にチェックしましょう。古い配線は絶縁不良を起こしやすく、火災のリスクがあります。
給排水・衛生設備では、配管の腐食や水漏れに注意が必要です。とくに食品工場では、排水設備の不備が異物混入や害虫の侵入につながるため、定期的な清掃と点検が必須です。
空調・換気設備は、作業環境の快適性に大きく影響します。工場内の暑さ対策として、エリア空調機の導入や既存設備の更新を検討する価値があります。快適な作業環境は従業員の生産性向上にもつながります。
消防設備は法律で定期点検が義務付けられていますが、万一の火災に備えて常に正常に機能する状態を保つことが重要です。
設備の修繕や更新を行う際は、建築・設備・電気工事を一括で対応できる業者に依頼すると、情報伝達がスムーズになり、トータルコストも抑えられます。
【重要】メンテナンス時期は耐用年数を基準にしないこと
ここまで工場の法定耐用年数について詳しく解説してきましたが、実は重要なポイントがあります。それは、メンテナンスのタイミングは法定耐用年数を基準にしてはいけないということです。
法定耐用年数はあくまで税務上の基準であり、実際の建物の劣化スピードとは異なります。使用環境や気候条件、メンテナンスの履歴によって、建物の状態は大きく変わります。
たとえば、法定耐用年数が38年の鉄筋コンクリート造の工場でも、海沿いにあって塩害の影響を受けやすい環境なら、20年程度で外壁の劣化が目立つこともあります。逆に、適切にメンテナンスを行っていれば、50年以上問題なく使える場合もあります。
メンテナンスのタイミングを見極めるには、建物の実際の状態を定期的にチェックすることが必要です。文部科学省が公開している「点検チェックリスト」を参考に、以下のような項目を確認しましょう。
- 【屋根のチェックポイント】
- ✓ ひび割れ、破損はないか
- ✓ 雨漏りの跡はないか
- ✓ 防水層の劣化はないか
- 【外壁のチェックポイント】
- ✓ ひび割れ、剥離はないか
- ✓ 塗装の劣化(チョーキング)はないか
- ✓ サビや変色はないか
- 【構造部分のチェックポイント】
- ✓ 柱や梁にひび割れはないか
- ✓ たわみや変形はないか
- ✓ 鉄骨にサビは発生していないか
これらのチェックを定期的に行い、異常が見つかったらすぐに専門業者に相談することが、工場の寿命を延ばす最大のポイントです。
まとめ
工場の耐用年数には、法定耐用年数・経済的耐用年数・物理的耐用年数の3つがあります。それぞれの意味を正しく理解し、減価償却の計算と長期的な修繕計画の両面で活用することが重要です。
法定耐用年数はあくまで会計上の基準であり、実際の建物の寿命とは異なります。適切なタイミングで外装、内装、構造部分、設備のメンテナンスを行うことで、法定耐用年数を大きく超えて工場を使い続けることができます。
重要なのは、法定耐用年数ではなく建物の実際の状態を基準にメンテナンス計画を立てることです。定期的な点検を行い、小さな劣化のうちに対処すれば、大きな修繕費用を抑えられます。
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