倉庫物流倉庫
2025.12.17
鉄骨倉庫のリフォーム費用はどのくらい?箇所別に目安を解説
- # 暑さ・寒さ対策
- # 省エネ・創エネ
- # 老朽化対策
- # 働き方・求人対策
- # 災害対策
INDEX

鉄骨倉庫のリフォーム費用は、規模・劣化状況・工法により異なります。大切なのは、初期投資だけでなく、長期的なコストパフォーマンスまでしっかり見極めることです。改修箇所ごとの判断基準から業者選定のポイントまで解説します。
鉄骨倉庫の老朽化や暑さ、雨漏りにお悩みではありませんか?
建物の劣化が進むと作業効率が落ちるだけでなく、従業員の安全にも影響が出てしまいます。そのため、倉庫のリフォームは単なる修繕ではなく、事業を安定して続けるための重要な投資といえます。
本記事では、鉄骨倉庫をリフォームする際に押さえておきたい主要な改修箇所や、投資として考えるうえでのポイントを整理して紹介します。倉庫の状態を見極めながら、費用対効果の高い判断を行うための参考としてご活用ください。
鉄骨倉庫のリフォームとは?
鉄骨倉庫のリフォームは、老朽化によって低下した性能を回復させるための工事です。
屋根・外壁の塗膜劣化や雨漏り、水分による鉄骨のサビなどを放置すると、構造安全性や作業環境に悪影響が出るため、適切な時期にメンテナンスを行う必要があります。
リフォームの中心となるのは、
- ・塗装の塗り替え
- ・防水やシーリングの補修
- ・サビの除去や鉄部の補強
- ・破損部分の交換
といった「維持のための工事」です。
リフォームとリノベーションの違い
より快適で効率的な作業環境をつくるために機能を向上させる工事は「リノベーション」と呼ばれます。たとえば、断熱性能を強化して暑さ・寒さを軽減したり、空調設備を追加して作業効率を上げたりといった取り組みが該当します。
| リフォーム | 劣化部分の修繕によって元の状態に戻すことを目的 |
| リノベーション | 建物の性能を改善し、よりよい環境をつくることを目的 |
近年は省エネ対策や働きやすさの向上が求められることから、単なる修繕だけでなく「改良」を加えるリノベーションを検討する企業も増えています。リフォームだけでは解決できない課題も、リノベーションを行うことで、長期的にメリットの大きい改善が可能です。
鉄骨倉庫のリフォーム費用の目安
鉄骨倉庫のリフォームを検討する際、まず知りたいのは「どれくらい費用がかかるのか」という点です。しかし実際の金額は、倉庫の大きさ、劣化の進行度、採用する工法、使用する材料などによって大きく変動します。
屋根・外壁の塗装にかかる費用目安
屋根や外壁の塗装は、見た目を整えるだけでなく、鉄骨をサビや劣化から守るために欠かせない工事です。代表的な塗料には、ウレタン塗料・シリコン塗料・遮熱塗料などの高機能塗料といった種類があります。
| ウレタン塗料 | 価格が手頃で扱いやすい反面、耐久性はやや低め |
| シリコン塗料 | 耐用年数が長く、コストと性能のバランスにすぐれている |
| 遮熱塗料などの高機能塗料 | 初期費用は高いものの、屋根表面の温度上昇を抑えることで倉庫内の熱こもりを軽減し、省エネにも寄与 |
屋根材の交換や修繕にかかる費用目安
屋根の劣化が進むと、塗装だけでは性能を維持できなくなる場合があります。その際は、屋根材そのものを交換したり、部分的に修繕したりといった根本的な対策が必要です。代表的な工法としては「カバー工法」と「葺き替え」があります。
カバー工法
既存の屋根材の上に新しい屋根材を重ねる方法です。既存の屋根を撤去しないため、廃材処分の手間を抑えられ、工期も短縮しやすい点が特徴です。倉庫の稼働を止めずに施工できるため、操業を維持したい場合に適しています。
葺き替え
既存の屋根材を撤去して新しいものに交換する方法です。下地の状態を直接確認できるため、腐食や損傷がある場合は同時に補修できます。ただし、古い倉庫でアスベストを含む屋根材が使われている場合、撤去に専門的な処理が必要となるため、判断には注意が必要です。
築年数が長い倉庫では、アスベストの有無や下地の劣化状況により、どちらの工法が適しているかが変わります。安全性や操業への影響を含め、現地調査にもとづいて選択することが大切です。
鉄骨倉庫のリフォームを行うメリット7つ
鉄骨倉庫のリフォームは、作業環境の改善や安全性の向上、省エネによるランニングコストの削減など、企業にとって継続的な価値を生む投資です。
ここでは、鉄骨倉庫のリフォームを行う7つのメリットについて紹介します。
業務効率が向上する
鉄骨倉庫のリフォームを行うと、建物の劣化によって生じていた不便さを解消でき、日々の作業が円滑に進むようになります。たとえば、床のひび割れや段差を補修すると、台車やフォークリフトが引っかかることがなくなり、移動がスムーズになります。
また、老朽化した照明設備を適切な明るさに復元すれば、作業時の視認性が改善し、ピッキングミスの減少につながります。このように、劣化箇所を元の状態に戻すことで、結果的に作業効率の向上を実現できます。
従業員の安全性を確保できる
建物が老朽化すると、思わぬ事故が起こる危険が高まります。たとえば、雨漏りによって床が濡れた状態が続くと転倒の原因になり、錆びた手すりや傷んだ階段を放置すると落下事故につながる可能性があります。
労働安全衛生法では、従業員の安全と健康を確保することが事業者に求められており、建物の維持管理はその実現に直結します。適切にリフォームを実施することで、安心して働ける環境を整えることが可能です。
安全性の向上は、結果として従業員の定着率の向上にもつながり、人材確保の面でもプラスの影響をもたらします。
従業員のモチベーションアップにつながる
働きやすい環境が整うことで、従業員の意欲は大きく向上します。
たとえば、劣化した照明設備を適切な明るさに改善すると、視界がクリアになり、目の負担が軽減されます。暗い環境では無意識に目を凝らしたり姿勢が前のめりになったりするため、肩こりや集中力の低下につながりがちですが、照度を適正化するだけでこれらの負担を大きく抑えられます。
また、暗さや老朽化した照明による「暗い職場」という印象が解消されることで、空間全体の雰囲気が明るくなり、心理的なストレスも減少します。
こうした環境改善により、従業員は「ここで働きたい」と感じるようになりやすくなります。その結果生産性の向上だけでなく、離職率の低下や採用活動への好影響にもつながります。
リフォームは、職場環境を整えながら人材面の強化にも寄与する取り組みといえます。
建物の耐久性が向上する
鉄骨造の倉庫は丈夫ですが、錆に弱いという特徴があります。屋根や外壁の塗装は、鉄骨を雨水や湿気から守る役割を担っており、塗膜が剥がれたまま放置すると錆が進行し、強度の低下につながります。
適切なタイミングでリフォームを実施することで、劣化の進行を抑え、建物を長期間安全に使用できます。その結果、大規模修繕や建て替えの必要が生じる時期を遅らせることができ、長期的な維持コストの削減につながります。
エネルギー効率が向上する
リフォームによって省エネ性能を改善することができ、日々の光熱費の削減につながります。
たとえば、屋根や外壁のひび割れや隙間を修繕すると、外気の侵入や空調の漏れが防げるため、空調設備が余計なエネルギーを使わずに済みます。
既存設備や建物の状態を改善するリフォームを行うことで、省エネ性能を底上げし、継続的なコスト削減と快適な作業環境の維持につなげられます。
建物の美観や資産価値を維持できる
倉庫は企業の大切な資産であり、その外観や状態は企業の姿勢をそのまま映し出します。外壁や屋根の劣化を放置すると、見た目の印象が悪くなるだけでなく、資産価値も下がってしまいます。定期的に塗装や修繕を行うことは、建物の価値を守るうえで欠かせません。
適切に手入れされた倉庫は、将来的に売却や賃貸を検討する際にも高く評価されます。また、取引先や来訪者に対して「管理が行き届いた企業」という印象を与える効果も期待できます。
このように、日常的な維持管理を積み重ねることが、資産価値の維持と企業のブランドイメージの向上につながります。
最新の法令や規格に対応できる
建物は、建設された時期によって適用されている基準が異なります。
建築基準法は定期的に改正されており、古い倉庫では現行基準と合わない部分が残っていることがあります。とくに1981年以前に建てられた倉庫は旧耐震基準で設計されているため、耐震性の確認や補強が必要になる場合があります。
また、労働安全衛生法では、安全で健康的な作業環境を整えることが求められています。取り扱う製品の変更や事業の拡大により、衛生や動線に関する基準に対応しなければならないケースもあります。
リフォームのタイミングで現状を点検し、必要な対策を行うことで、法令上のリスクを回避しながら、安心して使い続けられる倉庫へと整えることができます。
出典:e-Gov法令検索「消防法第17条」
出典:e-Gov法令検索「建築基準法第8条、9条」
出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生法第1条」
出典:国土交通省「住宅・建築物の耐震化について」
鉄骨倉庫のリフォームを検討すべきタイミング

倉庫のリフォームは、劣化が進んでから取り組むよりも、適切なタイミングで計画的に実施することが重要です。建物の状態を放置すると、修繕範囲が広がり、結果として費用も工期も大きくなりやすくなります。
ここでは、鉄骨倉庫でリフォームを検討すべき主なタイミングを紹介します。
建物が老朽化してきた
築年数が経過した倉庫では、さまざまな劣化の兆候が現れます。外壁に触れたときに白い粉が付着する「チョーキング現象」は、塗装の保護機能が弱くなっているサインです。屋根材に錆や小さな穴が見られる場合は、雨漏りのリスクが高まっています。
鉄骨造の倉庫は、一般的に建築から10年〜15年ほどで大きなメンテナンスが必要とされます。小さな劣化を放置すると、台風や地震などの自然災害をきっかけに、急速に損傷が進む可能性があります。
早めに対処することで、建物の寿命を延ばし、修繕費用の急激な増加を防ぐことができます。
設備の入れ替えを行う
搬送機器や空調設備、照明などを新しいものへ更新する際は、建物自体の改修も合わせて検討するよい機会です。設備更新と合わせて床の補修や壁面のメンテナンス、通路や作業動線の見直しを行うことで、より効率的な作業環境を整えることができます。
設備更新と改修をまとめて行えば、工事の回数を減らせるため、業務への影響を最小限に抑えながら、効率よく倉庫全体の環境を整えることができます。
自動化設備を導入する
倉庫の自動化を進める場合、設備を導入する前に建物側を整えることが重要になります。建物が古い状態のままでは、自動化機器が十分に性能を発揮できず、思わぬ不具合を招くことがあります。
たとえば、床のひび割れや段差を補修して滑らかな走行環境をつくると、AGV(無人搬送車)などの移動機器がスムーズに動けるようになります。
また、老朽化した電気設備を見直し、必要に応じて配線や分電盤を整理すると、新しい機器に安定した電力を供給できるようになります。
自動化は、単に機械を置けばよいわけではなく、「倉庫全体を最適化するプロセス」です。リフォームと合わせて計画することで、導入効果を最大化できます。
このように、自動化設備の導入を前提に建物を整えるリフォームを行うことで、設備の持つ性能を最大限に発揮できる環境をつくれます。結果として、導入後のトラブルを防ぎながら、スムーズな運用を実現できます。
事業拡大を行う
事業の方向性が変わり、倉庫で扱う製品や作業内容に変化が生じると、必要とされる環境条件も変わります。そのため、事業拡大のタイミングは倉庫の機能を見直すよい機会となります。
たとえば、食品を扱う場合は衛生面での管理が重要になり、壁面や床のひび割れを補修して清掃しやすい状態を整える必要があります。医薬品や化学品を扱う場合でも、適切な換気や温度管理が求められるため、老朽化した断熱材の交換や通気の改善が必要になるケースがあります。
このように、事業拡大に合わせて建物を新しい用途に適合させるリフォームを行うことで、業務をスムーズに立ち上げられます。
鉄骨倉庫のリフォームを行う際の流れ
鉄骨倉庫のリフォームは、現地調査から計画策定、施工、完成まで、いくつかのステップを踏んで進められます。初めて担当する場合でも、全体の流れを把握しておけば、工事に必要な準備がしやすくなり、スムーズに進行させることができます。
ここでは、一般的なリフォームの進行手順を紹介します。
1:現地調査と現状把握
リフォームの最初のステップは、建物の状態を正確に把握するための「現地調査」です。専門業者が屋根・外壁・床・設備などを確認し、劣化の進行度や補修が必要な箇所を丁寧にチェックします。
同時に、リフォームの目的や課題、改善したいポイントについてヒアリングを行い、現在抱えている問題点を整理します。これらの情報をもとに、必要となる工事内容や規模、工期の見通しを立てられるようになります。
2:プランと見積もりの比較検討
現地調査の結果をもとに、リフォームの具体的なプランと見積もりが提示されます。より適切な判断を行うために複数社から見積もりを取り、比較検討しましょう。初期費用の安さだけで判断するのではなく、将来的な維持コストまで見据えて検討することが大切です。
3:業者選定と契約締結
比較検討の結果を踏まえて、依頼する業者を決定します。
契約を結ぶ際は、工期や費用、具体的な施工内容、保証の範囲などが契約書に明確に記載されているかを必ず確認することが重要です。不明点がある場合は、後々のトラブルを避けるためにも、その場でしっかりと確認しておく必要があります。
4:リフォーム施工
契約内容に沿って工事が進められます。工事中は進捗状況を定期的に確認し、気になる点があれば早めに対応することが大切です。稼働中の倉庫で施工を行う場合は、騒音や粉塵への対策を徹底し、従業員や来訪者の安全に十分配慮しながら作業を進めます。
5:引き渡し~アフターメンテナンス
工事が完了した後は、施工内容に問題がないか最終確認を行います。
引き渡し後も、定期的に点検やメンテナンスを実施することで、建物を長く安全に使い続けられます。また、アフターフォローの体制が整っている業者を選べば、万が一不具合が発生した際にも速やかに対応してもらえるため安心です。
鉄骨倉庫のリフォーム業者を選ぶときのチェックポイント
鉄骨倉庫のリフォームには、専門的な知識と経験が必要です。一般住宅とは構造や規模が大きく異なり、運用を止めずに工事を行うケースも多いため、業者選びは慎重に進める必要があります。
ここでは、信頼できる業者を見極めるために押さえておきたい3つのポイントを紹介します。
鉄骨倉庫のリフォームに関する実績は豊富か
倉庫や工場といった大型物件の改修実績が豊富な業者を選ぶことが重要です。過去の施工事例を確認し、自社の倉庫と規模や構造が近い物件を手がけた経験があるかをチェックすると、安心して依頼できます。
鉄骨造には錆・結露・断熱といった特有の課題があり、これらに適切に対応するためには専門的な知識が必要です。それらの課題に対して、根拠のある提案を示せる業者であれば、信頼性の高いパートナーとして選べます。
担当者の対応は親身で誠実か
技術力だけでなく、担当者の対応も業者選びの大切な判断材料になります。疑問や不安に対して丁寧に説明してくれる担当者であれば、工事中も安心して進められます。
初回の相談時には、こちらの話をしっかり聞き、課題を正確に理解しようとしているかを確認しましょう。また、問い合わせへのレスポンスが早いことも、信頼できる業者であるかを判断するポイントになります。
アフターフォローが充実しているか
リフォームでは、工事後の維持管理まで含めて考えることが大切です。
保証内容や保証期間、定期点検の有無を事前に確認しておくことで、引き渡し後の不具合に落ち着いて対応できます。問題が発生した際に迅速に対応できる業者であれば、安心して倉庫を使い続けることができます。
まとめ
鉄骨倉庫のリフォームは、老朽化によって低下した性能を回復させるための工事です。建物や設備の状態に合わせて適切なタイミングで改修を行えば、長期的な維持コストを抑えながら、快適で働きやすい環境を整えられます。
基本的には劣化部分の修繕を行う「リフォーム」ですが、扱う製品が変わったり、より高い快適性や作業効率を求めたりする場合には「リノベーション」が必要です。
RENOXIA(リノシア)は、創業60年以上の経験と技術を持ち、累計20,000件を超える施工実績を誇るリノベーション業者です。倉庫や工場などの大型物件のリノベーションにおいて豊富な実績を積み重ねてきました。
計画・設計から施工、アフターメンテナンスまで一括して対応できる体制を整えており、建築・電気・設備工事もすべて自社で行えるため、スピーディーなサービスをご提供できます。
倉庫の老朽化や環境改善でお悩みの際は、ぜひご相談ください。






